西端泉先生の「これが本当の健康づくり運動」
第1回 【 膝の屈伸運動 】
主運動の前に行う準備運動などとして、膝の屈伸運動がしばしば行われます。両膝を同時に行う方法(図1)や、片膝ずつ行う方法(図2)などがあります。ウォーミングアップばかりでなく、主運動の後でクールダウンとして行われることもあります。
膝の屈伸運動を行う目的は、膝が曲がりやすく、また、膝が伸びやすくすることです。ところが、図1や2に示したような方法では、逆に膝を痛めてしまって、結果的に、膝が曲がらなくなってしまったり、伸ばそうとすると引っ掛かってなめらかに伸びなくなってしまったりする傷害を起こす恐れがあります。
【なぜ膝の曲げ伸ばしが危険なのか?膝の構造をみてみよう】
膝の関節は、立っているときは、体重を支え、姿勢を安定させなければなりません。その同じ膝は、歩いたり、走ったりするときには、曲がったり、伸びたりしながら、大きな力を発揮しなければなりません。このように、膝は、安定性と、可動性という、相反する2つの仕事をこなすことが要求される関節です。
膝関節は、下腿(スネ)の骨の1つである脛骨(けいこつ)と、大腿(太もも)の骨である大腿骨(だいたいこつ)との間にある関節です。
構造上、膝が曲がったり、伸びたりしやすいように、脛骨の関節面は平面に近く、大腿骨の関節面は半球状になっています(図3)。小さなテーブル(脛骨の関節面)の上に、すりこぎ(大腿骨)を立てたような状態です。
ところが、このままでは非常に安定性が悪いので、安定性をよくするために、脛骨と大腿骨のすき間を、半月板(はんげつばん)とよばれる関節間軟骨が埋めています。テーブルに立てたすりこぎを安定させるために、すき間に粘土を詰めたような状態です。
粘土の力を借りて立っているすりこぎを、上から力を入れてぐりぐりと動かしたらどうなるでしょうか。粘土はつぶれ広がってしまって、役に立たなくなってしまいます。これと同じようなことが膝の屈伸運動でも起こり得ます。
体重をかけた状態で、膝関節を深く曲げたり伸ばしたりを繰り返すと、半月板がつぶれてしまったり、裂けてしまったり、すり減ったりしていきます。
一度に非常に大きな力が加わった結果起こるものは「半月板損傷」とよばれます。スポーツ選手にしばしば発生するケガです。例えば、高いところから飛び降りた着地の瞬間に、その衝撃で半月板が裂けてしまうことがあります。バスケットボールやバレーボールなどの飛び跳ねることが多い種類のスポーツや、器械体操などの着地動作でしばしば発生します。
一度に加わる力は小さい場合でも、それを回数多く繰り返すと、半月板は徐々にすり減っていき、最終的には膝関節を構成する骨そのものが変形していく「変形性膝関節症」を起こします。中年以上の女性に多発する障害です。
変形性膝関節症になると、医師から、畳に座るのを止めてソファーに座るように言われたり、畳に布団を敷いて寝るのを止めベッドに寝るように言われたりすることが多いのですが、この理由は、日常生活の中で、できるだけ、膝を深く曲げないようにするためです。トイレも、和式から、洋式にかえるように言われるかもしれません。
このあといよいよ「安全な膝の屈伸運動」紹介! 続きはこちらから
【西端泉先生紹介】
西端 泉(にしばた いずみ)
川崎市立看護短期大学教授、日本フィットネス協会理事
主な研究テーマ:
高齢者の体力・健康を維持・増進するためのレジスタンス・トレーニング
安全性を優先した健康づくり運動の開発
認知症予防・改善のための運動
発達障害を有する子どものための運動
今週の学べるアニマルピラティス
第39回 【サイド・キック・ニーリング(上級エクササイズ)】
エクササイズの目的
ニーリングとは、膝立ち姿勢を意味します。初級で紹介した「サイド・キック」を膝立ち姿勢で行います。床との接地面が2点、膝と手の平のみで行いますので非常に不安定です。そんな不安定な状態で腿の付根(股関節)が大きく動きます。体幹力が試されるエクササイズです。
エクササイズの効果についてはこちらから。
今週の検定問題
「筋肉の元となっている筋線維の太さは髪の毛程度である。〇かXか。」
答えと解説は
こちら
読者の筋肉知識に挑戦!
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今週の筋肉パズル
この 『 筋 肉 』 なーんだ?

【ヒント】
大腿四頭筋の一つ。大腿の外側部をつくります
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チェック
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今週のオススメコーナー
骨と関節まるわかりシート
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見るみるわかる肩甲ナビ
「肩こり」や「肩の痛み」など、日常生活においても、なにかとトラブルを起こしやすい“肩”。肩はどのようにして動いているのか?骨や筋の構造を知り、肩の悩みや不調を改善する「肩のための1冊」
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